「賢い庭造り読本」 of 北郷創庭舎/いわき市のお庭造り(造園・外構エクステリアの設計施工・維持管理)

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後悔先に立たず

  • 家を建てることに精一杯で、外回りのことまで考えなかった。それでも、駐車場は必要なので、玄関までのアプローチも含めて外構工事を頼んだが、結構な金額になってしまった。庭も何とかしたいけど、もう予算は残っていない。
  • 新築の際、引越しに間に合わせて、何とか駐車場と門扉・フェンスまで作ってもらった。しかし、その後、庭を含めた外回り全体の整備をしようとしたら、先にやった外構工事がネックになってしまった。
  • ガーデニングに興味があるし、レンガや植木・草花はホームセンターに売ってるし...自分で出来そうだからやってみた。でも、その時々の思いつきだったし、必要なものを作ったというよりも自分で出来そうなものや作りたいものを作ってしまった。それでも、作業は楽しかったから良いけど、休みの日で天気が良くて用事が無い日ってそう多くは無いので、結局、未完成のまま。
  • 新築祝いに、知り合いが、縁起の良い木だといってナンテンとモチノキを運んで来て植えてくれた。アメリカのドラマに出てくるように、休日には芝刈りをするのが憧れだったので、業者に芝生を張ってもらった。芝生を張ったらウッド・デッキが欲しくなったので設置してもらった。草花が好きなので、空いているスペースがあれば、つい植えてしまう。自家菜園も良いと思ったので.....まぁ、こんな庭は見たことありませんが。
  • せっかく、木や草花を植えたのに、年々元気が無くなってゆく。逆に、小さかったコニファーだけ、あっという間に大きくなってしまって、どうしようもなくなってしまった。挙句の果てに、先日の強風で傾いたままだ。

 庭作りや外構・エクステリア工事。せっかくお金をかけるのですから、なるべくなら失敗はしたくないものですが、実際には何らかの制約の中で庭つくりを始めることがほとんどです。それならなおさら、避けられる後悔は避けるほうが賢明です。

 すでに、「あぁ、それ、やっちゃった。」という方も、それはそういう条件として、最終的により良い空間が創れれば、結果オーライです。さまざまな制約のなかで、どうやって良い庭にしてゆくかが工夫のし所です。

予算

 かなり大雑把な目安ですが、庭と外構にかかる費用は、車を買うのと同じくらいはかかります。もちろん、それぞれの考え方次第で、とりあえず必要最低限の機能があればいいのか、少しこだわりたいのかによって、内容は大きく変わりますし、広さもさまざまですので、かなりの開きはあります。また、すでに外構が出来ていればより少ない金額で収まりますし、外構の変更工事をするようになってしまうと、逆に工事費が二重にかかることもありえます。

 ところで、庭や外構にお金をかける前に、家にお金をかけなくてはいけません。家を建てる建築側はいかに良い家を作るかが仕事ですから、可能な限り充実した内容を提案しますし、本体工事以外にも電気・水道・ガス・内装・家具・家電品なども必要になってきます。住まい手にとっては、たぶん人生最大の買い物ですから、夢はどんどん膨らんでゆきますが、それに連れて、出費もかさんでゆきます。さらに、住み始める時に駐車場は欲しいし、引越し費用だってかかるし、多少はあったはずのゆとりも、気がつけば...ということになりがちです(そうならなければ問題無しです)。そうなると、残された選択肢は多分三つ。その一、庭には手をつけずに、更地のままで過ごす(いずれ余裕の出来るときまで?)。その二、少しは業者に頼むにしても、あとは自分で芝を張ったりしてなるべく予算をかけずにやりくりする。その三、融資を増額する(庭や外構も、住宅ローンやリフォーム・ローンの対象になります)。

 家と庭は、そこに暮らす人・家庭と一緒にあります。毎日忙しくて、庭で過ごす暇なんて無いんだから、家がほぼ100%で、あとは駐車スペースがあればいいという考え方もあります。 でも、そういう時間に生きているからこそ、潤いのあるやすらげる空間が大切だという考え方もできます。もし、そう考えるなら、無限ではない予算の中で、得るものと得られないもの・失うものとのバランス、生活空間全体の心地良さを向上させるためのより良い組合せについて、考えてみて損は無いと思います。

 もし、すでに予算的な余裕もなくて、ローンも組みたくないとしたら、成り行きに任せず、なおさら計画的に考えてください。殺風景な空間で過ごすことはお勧めしませんが、無計画につぎはぎした庭はもっとお勧めできません。程度によりますが、途中で嫌になっても、毎日眺めないといけないし、いずれやり直すことが出来たとしても、それまでに費やしたコストと時間が空しくなってしまいます。前向きに考えることが出来れば、道は開けることが多いものです。

 もし、成り行きで作ってしまっていたら。それは、より良い庭を作るために、貴重な教訓を得たと考えましょう。もっと良い庭にするチャンスです。

タイミング

 新築なら、住み始める時には駐車場も出来ていたほうが良い、と考えるのは普通です。その場合、駐車場に接して、敷地の段差を止めるためのブロックや門、それに伴ってポスト・表札、玄関までのアプローチも作っておいたほうが効率的です。でも、全体像が描かれていないのに部分が先行するのは、リスクを伴います。

 できれば、全体計画が出来ていて、無駄の少ない段取りで工事するか、緊急性や重要度などの優先順位を設定して工事を進めたいですし、その計画は建築計画と並行して考えるのが理想的です。景観やプライバシー確保は、外構・造園で何とかしてもらって、まず家を建ててしまえ、って進めても、外回りでの対処では効率が悪いこともあります。建物の位置をちょっとずらすだけで、駐車スペースが使いやすくなったり、窓位置を変えるだけで周りからの目線が気にならなくなることがあります。それを外回りで対処すれば、使い勝手やコストなどに、デメリットが生じる場合もあります。

 とは言っても、マイホームの夢で頭が一杯の時には、なかなか庭のことまで考えられないのも現実です。ならば、外構工事に入る前に、慌てず立ち止まって考えましょう。外構工事は金額も結構かかりますし、コンクリート工事が多いので、やり直しは大変です。もちろん、空間全体のことや維持管理のことまで検討した内容がすでに出来ていれば、OKです。あとは、よい庭が出来るのが楽しみです。

 ところが、庭のことまではあまり考えずに、とりあえず外構までは済んでいる、という場合。多分、これが大半のケースで、一番考えたいケースです。全体計画が出来ていてビジョンが見えているなら、そのあとの進み方はあまりぶれないと思いますが、行く先も分からないままに歩き出したらどこに行くか分かりません。それなら、じっとしていよう、とか、散歩や道草を楽しむというのも考え方です。ただ、間違いなく時間は流れています。例えば、子育て世代なら、子供たちが巣立って行く時期は、休むことなく近づいています。じぁあ、今からビジョンを描いて進もう、と考えることができます。知恵と工夫と気持ち次第です。それと予算も。。。

 私的結論。気になったその時が、これからのためのベスト・タイミング。

役割分担-その1

 まず、庭・外回りを作るときや改修するときの役割分担。誰が構想を練って、費用を算出して、作業するのか。考えられるのは、住まい手、それから造園業者や外構業者。まれにエクステリア・プランナーなどの設計専門業者が入ることもあります。 新築の場合は、ハウス・メーカーや建築設計者が関わることもよくあります。いずれにしても、住まい手と業者。もちろん、住まい手が全て自分でやるという選択肢もありますが、ここでは、業者として何をお手伝いできるのか、住まい手じゃないと出来ないことは何か、を考えてみたいと思います。

 構想・立案・見積りを修正しながら、内容が決まってゆきますが、大半は業者の作業です。住まい手じゃないと出来ないことは、要望を出すこと。中には、出来ないことや止めておいたほうがいい内容もありますが、出来ないと思い込んでいることが出来ることだってあります。考えられる限りの要望をリスト・アップして、出来れば優先順位や重要度なども整理されていれば、その後の進み方がスムーズになります。あとは、判断と修正要望を何度か繰り返して、決断をすることになります。

 次の役割分担は、施工段階。これも大体は業者がやりますが、住まい手自身でも出来なくはない作業もあります。例えば、レンガを並べたり芝を張ったりという作業は、業者が段取りしておいて住まい手がDIYで施工することなどは可能です。また、草花などは、その後に水遣りや肥料、植替えなどの作業も必要になりますので、植え場所は業者が作るにしても、植えるのはご自分で、というのもお勧めです。

役割分担-その2

 もうひとつの大事な役割分担、維持管理。初期費用と維持費用のバランスはありますが、家も庭も、維持するための手間や費用が必ずかかります。メンテナンスフリーということは、決してありません。
維持管理って、例えば、

  • 庭の掃除だってたまにはしないといけません。仮に庭に木を植えていなくても、風が吹けば外から落ち葉が舞い込んでくるし、ゴミや埃だって飛んできます。
  • 草花を植えれば、水遣りもしないといけません。植木は、根付いてしまえば、水やりの心配はあまり要らなくなってきますが、今度は剪定が必要になってきます。肥料や病害虫防除も必要になるかも知れませんし、枯れてしまう事だって無いとは限りません。
  • 草むしりもしないといけません。
  • コンクリートやブロックの汚れが目立つようになれば、汚れ落しや塗装が必要になるかも知れません。

他にも、想定していない事や色々な事が、充分に起こりえます。そういう作業を、誰がやるか。作業内容だけ見ると、自分で出来るものも多いのですが、何が出来るかは個人差がありますし、出来るとしても、時間的・気分的な余裕があるかということも考えないといけません。また、時間が無くて自分で出来ない作業や、剪定などを業者に依頼する場合には、当然、コストがかかるので、それも見込んでおいたほうが良いと思います。

 ところで、維持管理は楽に越したことはありませんが、手をかけたり向き合ったりすることが無ければ、愛着も生まれません。相手によっても変わります。ひたすら草むしりするだけの苦痛の空間や時間もあれば、あまり苦にならなかったり、好きな時間だったりすることもあるはず。こちらの気持ちによっても変わります。コストだって、それが許せる範囲で、得られる結果がそれ以上であれば、問題にはならないでしょう。大事なことは、ただ単に維持管理を減らすことだけではなくて、それらの内容とバランスだと思います。それを探るのは、住まい手と業者の共同作業です。

 考えてみると、維持管理をどうするかということは、庭なり外構なりを作るときにある程度決まってしまう問題なのです。そのプランの中にすでに仕組まれてしまっています。だから、なるべく早い時期から、しかし焦らずに。

何のために

  • 美意識や精神の表現
  • 心象風景の再現
  • もてなし
  • 生活作業や趣味や遊びの場
  • 周囲との修景...などなど

 庭のカタチには、さまざまな意味があります。本当は、順番としてこれを一番最初に書くべきでした。住まい手として、庭に、何を求めましょうか。機能性、心地良さ(見る対象として・包まれるものとして)。それは、業者がアドバイスすることは出来ますが、住まい手にしか出せない答えです。それをカタチにするのは、業者の仕事です。すぐに答えが見つからなければ、じっくり話し合って、考えればいいと思います。

 ところで、「庭」という言葉が生まれたときには、車社会ではありませんでした。現代の庭には、駐車スペースという機能が求められます。使い勝手だけでなく、そこにも、庭としての空間があります。

 さて、私の場合。何のために・・・家族、子供たちのため。そして自分のために。こうしてパソコンを触っていても、木や草や土の温もりは分かりません。もちろん、体験があるから想像できるけど。でも、実感できない。晴れた穏やかな日の雑木林が気持ちいいことも、雨上がりの草いきれも、知識ではなく体感。自然に包まれて生きていることの心地良さを実感して欲しいから、何よりも自分が実感していたいから。美しいものは美しいし、良いものは良いのです。

条件を知る

 外回りの空間に何を求めるか、概略予算をどのくらいで設定するか、がある程度見えてきたら、構想を練ることになります。しかし、設計条件は、それだけではありません。

  • 敷地形状と、建物・道路との位置関係
  • 建物間取りと、窓位置
  • 給排水管やガス管などの位置経路
  • 敷地の周りの状況や、建築協定などの制限事項
  • 地盤条件や気候条件
  • 用いる素材の特性
  • 維持管理にかけられる手間と費用
  • 工期などの作業制限事項

 などなど。これらの条件は、業者側である程度判断できますし、その対応も業者側で考える場合がほとんどです。ただ、そういう条件を踏まえたカタチじゃないと、絵に描いたモチに終わってしまうかもしれないことを、知っておいてください。例えば、植物を、生育に適さない土や場所に植えても、育ちが悪かったり、枯れてしまうこともあります。使い勝手が悪くて、結局は使わなくなってしまう空間もあります。作ったときはきれいでも、年々荒れてゆく空間だってあります。

 それから、住まい手側の要望も重要な設計条件です。その内容は、図面に反映されるはずですし、現場作業にも影響します。実際の現場作業では、図面に想定されていない細かい事がたくさん出てきます。その時にどう対応するか。どういう条件でどう考えてその形にしたのか、住まい手の言葉、ここの住まい手ならここでどう感じたり動いたりするだろうかという想像。図面や仕様書に現れない、そういうたくさんの細かいことが、部分部分を繋いで生きた空間を創るのだと思います。

耐用年数

 何百年も続く庭があるのですから、メンテナンスさえしていれば、庭としての耐用年数というのは無いのかもしれません。むしろ、時間をかけて醸し出される雰囲気さえあります。しかし、メンテナンスをしなければ、そう長い年月を待たずに耐用年数を迎えることもあります。また、構造物など庭の部分部分は、メンテナンスをしていてもどうしても朽ちたりすることはありますし、草花などもともと寿命の短いものもあります。ちなみに、植物は、種を落としたり根っこを伸ばしたりして、次の世代やクローンなどに命を繋ぐことが可能です。

 それよりも、人間が設定する耐用年数が、一番重要かもしれません。材料や素材の問題ではなく、空間利用の目的として。

 家なら、部屋の模様替えや、間取りの変更、増改築が必要になることもあります。庭にも当てはまります。建物の増改築があれば庭にも当然変更がありますし、駐車場の増設、芝生の取り壊し、菜園の設置、樹木の伐採などなど、大小さまざまなケースがあります。子供の記念樹に植えた果樹が、やっと実を着けるようになった頃には、子供はもう独立しているということもあります。思い出として大事にするなら、木が大きく育っても邪魔にならない場所を用意しておかないといけないかも知れません。また、子供たちが大きくなって、車を運転するようなときのために、駐車場の増設スペースを確保しておいて、子供たちが小さいうちはそこを芝生にしておく。もし、増設が不要なら、定年後のために菜園にしたりして、庭を改修しても良いし。という使い方も考えられます。使い方を柔軟に考えておけば、改修も少しは容易になります。

 良いものは年月をかけてより良いものになりますが、そういうものは、取り壊す確率が低い場所や、再利用・再配置可能なもので作ったほうが良いかもしれません。材料・素材の特徴は、使い方次第で長所にも短所にもなります。目的やコストや見栄えなどの他に、耐用年数や寿命、それに改修の可能性とその時の再使用・処分方法の見通しについても、できれば考えておきたいものです。

どこに頼むか

 庭や外構を業者に頼む場合、ハウス・メーカーなどの建築業者と、造園・外構業者、どちらに頼むのが得策なのでしょうか。もちろん造園業者、と言いたいところですが、それぞれにメリット・デメリットはあります。

 一般的には、建物は建築、コンクリート工事は外構、植木や石は造園、という棲み分けがありそうですが、専門仕事だけやればいいわけではありません。それぞれが、住まい手のための生活空間の部分を作る仕事なので、全体も見ないといけません。で、全体を見ながら専門作業をしたり、全体を見て専門作業は協力業者に担わせたり、というやり方があります。そういうメリット・デメリットややり方の違いは、建築業者か造園・外構業者かによってある程度の違いはありますが、最終的には個々の業者の違いになると思います。全てに満足できる業者は多分無いでしょうから、結局は、住む人が何に大きなメリットを感じて依頼するかという事になると思います。住まい手それぞれです。ただし、それなりにコストがかかるものですから、決して安直に決めて後悔することの無いようにして下さい。後悔先に立たず、です。